第140章 良い薬

今野優空は雪乃のオフィスのドアノブに手をかけたまま、結局、仕事の邪魔はしなかった。代わりにスマホを取り出し、秘書へ電話をかける。

「腫れと痛みに効く薬を手配してくれ。雪乃さんのオフィスへ届けるんだ」

秘書がやって来たのは、雪乃が書類の修正に没頭している最中だった。控えめにこんこんとノックし、返事を聞いてから、ようやくドアを開ける。手には薬の入った袋が提げられていた。

「奥様、こちら、腫れと痛みを抑える貼り薬です。かなり効くと聞いております。今野社長から、お届けするようにと。机の上に置いておきましょうか」

秘書はうやうやしい口調のまま、細心の注意を払って中へ入ってくる。仕事の妨げになら...

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