第143章 禁止

冷えきった言葉が、ふわりと車内に落ちた。

今野優空はゆっくりと彼女を振り向き、しばらくしてからようやく意味を飲み込んだ。

数秒ののち、ぎり、と奥歯を噛みしめるようにして聞き返す。

「今、何て言った? もう一回言ってみろ」

雪乃は目を上げ、まっすぐ彼を見た。

今野優空の顔色は、すでに完全に沈みきっている。眼差しはぞっとするほど冷たかった。

「別荘を出るって言ったの。どの言葉が聞き取れなかったの?」

雪乃の声はひややかで、その奥にわずかな苛立ちが滲んでいた。

今野優空は鼻で笑った。運転席に座り直す。さっき唇が触れた感触が、まだそこに残っている気がした。何か言う間もなく、雪乃は彼の...

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