第146章 連れ去る

「それじゃ、私は先に失礼するわ。今夜は付き合わせちゃって悪かったわね。帰ったら早めに休んで」

機嫌がいいせいか、中島晴美はアシスタントにもいつもより多く声をかけた。

二人の視線が空中でほんの一瞬だけ触れ合う。だが次の瞬間、アシスタントは目を逸らした。胸の奥のざわつきが、まだ消えない。

このまま彼女に今野社長を連れて行かせて、本当に大丈夫なのか。

明日、酔いがさめた今野社長に責められたりしないだろうか。

アシスタントは唇をきゅっと結んだ。不安は増すばかりだった。顔を上げて何か言おうとした、そのとき――視線がふいに少し離れた場所の女に止まる。

いつからそこにいたのか。

少し離れた場...

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