第151章 もてなし

雪乃は林谷里樹の前に立ち、ほんの少しだけためらってから、どこかぎこちない表情で尋ねた。

結婚してからというもの、彼女は家庭にすべてを注ぎ込み、友人も親戚もいつの間にか遠ざけてしまった。来客をもてなす段取りさえ忘れている。林谷里樹を前にすると、かえって手足の置き場が分からない。

「大丈夫だよ、姉ちゃん。俺、ここでちょっと座ってるだけでいいから。姉ちゃんは用事してて」

林谷里樹は行儀よくソファに腰を下ろしていた。手にしていた医学書はローテーブルの上へ置き、両手は膝の上にきちんと揃える。視線も落ち着いていて、黒いままのテレビ画面だけを見つめている。

雪乃がキッチンへ引っ込むと、彼はようやく...

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