第152章 去った

食卓を囲んだ時間は、妙に張りつめていて息苦しかった。

そこにいるのはたった3人しかいないのに、空気だけが異様にきしんでいる。

食事が終わると、林谷里樹は空気を読んだように帰ると言い出した。

腕には本を抱え、端正な顔にはおだやかで従順そうな笑みを浮かべている。

「雪乃さん、じゃあ僕はこれで失礼します。何かあったら電話してください。連絡先、交換してありますし」

玄関先まで行き、身をかがめて靴を履き替える。

それからふり返り、やわらかな声で言った。

「雪乃さん、貸してもらった本、ちゃんと読みますね」

雪乃はくすりと笑って頷いた。

「気にしなくていいよ。今度また何か面白い本があった...

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