第154章 騙す

中島晴美は、おずおずとした萌花を見つめながら、胸の奥からまた焦りがせり上がってくるのを感じていた。唇をきゅっと結び、内心では苛立ちにも似た焦りが渦を巻く。

今の自分が今野優空をここへ呼び寄せるには、萌花を口実に使うしかない。

そう思うと、中島晴美はもう一度萌花を抱き寄せ、いかにも優しげな声音を作った。

「萌花、お願い。この電話だけかけてくれない? 終わったら、萌花の大好きなアイス、食べさせてあげるから」

アイスと聞いた途端、萌花の目がぱっと輝いた。

「ほんと? ちゃんと約束してね。この電話したら、アイス食べさせてくれるんだよね?」

小さな手を伸ばし、萌花はスマホを受け取った。

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