第160章 わざとではない

「人を傷つけておいて、悪びれもせず謝ろうともしない。いいわ、立派なものね、今野萌花」

目の前にいる二人の険しい顔も、全身から漂う冷えきった空気も、まるで視界に入っていないかのようだった。雪乃の視線は、再び萌花へと落ちる。

「今野萌花。今日のこと、私はずっと忘れない。どうしたの? 人を傷つけるのが癖にでもなった? 私を傷つけただけじゃ足りなくて、今度は小さな子にまで手を上げるの」

「――いいわ」

雪乃は、ふっと冷たく笑った。

「今日から、もう私に会いに来なくていい。会いたいふりも、もうしなくていい。あなたも、あなたのお父さんも、これから先この家の敷居はまたがないで」

その言葉が落ち...

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