第165章 電話

「もう言うことはないわ。自分の目で確かめなさい。この奥様、肝が据わってる」

今野浅子は書類にざっと目を通すなり、顔色を変えた。

「こ、これは……会社の資産を流用したって話になるわよ。雪乃、どうしてこんな馬鹿なことを……。奥山さんもいらっしゃるし、私にも庇いようがないわ」

雪乃は冷めた目でその芝居を眺め、まぶたを持ち上げて目の前の三人を一瞥した。声には薄い冷たさと、押し殺した威圧が滲む。

「もう一度言う。私が会社の金を流用した事実はない。今野浅子、これ――あなたの仕業でしょう。こんなに長いあいだ私を会社から追い出すために色々考えて、疲れないの?」

今野浅子は表情を崩さない。むしろ残念...

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