第169章 試奏する

雪乃はほっと息をつき、恭しい口調で言葉を継いだ。

「先生、以前のことは、私があまりにも幼くて、考えも甘すぎました。今、もう一度ヴァイオリンを弾きたいと思っています。以前おっしゃってくださったお話は、まだ有効でしょうか」

電話の向こうで相手がくすりと笑った。雪乃の本気が伝わったのだろう。エリックは余計なことは言わず、短く言い切る。

「だったら、有言実行で来い。明日の9時、スタジオだ。俺が直々に待つ。遅れるな。切ったら住所を送る」

そこでひと息置き、さらに続けた。

「明日は、この数年でどれだけ鈍ったかを見る。腕が落ちているのは当然としても、全盛期まで戻れなんて最初から期待しない。だが、...

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