第176章 公演が大成功する

開演の時間は、もう来ていた。

雪乃の出番はプログラムのいちばん最初。トップバッターは、ただでさえ大きな重圧を背負う。まして今日は、彼女にとって何年ぶりになるか分からないほど久しぶりの初舞台だった。

楽屋裏の幕がゆっくりと引かれ、さほど大きくはない演奏ホールの照明も、ふっと落ちる。

開幕の合図だった。

ついさっきまでそこそこ騒がしかった空気も、すうっと静まり返る。

観客たちの視線が、一斉に舞台へと集まった。

雪乃はヴァイオリンを抱え、ゆっくりと前へ進み出る。

その姿が現れた瞬間、周囲の空気が一秒だけ止まったように見えた。

舞台の上の彼女は、淡いベージュのロングドレスをまとってい...

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