第177章 酒を届ける

雪乃は思わず目を見開いた。

「先輩、来てくれたんですね!」

三人の男を前にしても、いちばん肩の力が抜けて、自然体でいられるのは松村理玖だけだった。東山和馬に向ける慎重さもなければ、今野優空に抱く拒絶や距離感もない。

「先輩、私の演奏、見てました? ほんとにうまくいって……! 自分でもびっくりです。緊張しすぎて、ステージに立った瞬間、客席に人がいっぱいで……しかもメディアもたくさんいて、みんな写真撮ってて!」

降りた直後、分かち合う相手もいなかった高揚と震えが、いまようやく言葉になる。雪乃の早口はどんどん加速し、淡い眉目の奥に隠しきれない喜びが灯った。

口元は勝手にゆるみ、瞳はきらき...

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