第178章 望まない

空気がこのまま凍りつきそうになった、そのときだった。雪乃がふっとやわらかく微笑み、場を取りなした。

ひどく険しい顔をしている東山和馬をひと目見てから、雪乃は気まずそうに立ち尽くしていた店員へ視線を向け、気遣うように言った。

「もう大丈夫です。お仕事に戻ってください。ここは気にしなくていいので」

店員はあからさまにほっと息をついた。雪乃に感謝するように微笑むと、すぐに踵を返し、足早にその場を離れていった。

「どうしてあいつの酒なんか受け取った」

東山和馬の声音は冷え切っていた。冴え冴えとした目にも、うすい怒りの色がにじんでいる。

エリックは眉を上げる。

「そう責めるなよ」

この...

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