第19章 予想外

雪乃はリュックの肩紐をきゅっと握り、ドアを押し開けた。

休憩室の窓辺に、ひとりの男が立っている。逆光の中でも分かる、すっと伸びた輪郭。

物音に気づいた男が振り返った。

背後から差し込む陽光が、彼の顔を照らす。

雪乃はその場で固まり、男もまた動きを止めた。視線が絡んだまま、三秒。

先に我に返ったのは杉谷和樹だった。目にぱっと喜色が走る。

「……君か?」

雪乃は口を開きかけ、ふっと笑う。

「杉谷和樹……まさか、あなたがあの歌手だったの?」

大塚さんが二人を見比べ、首を傾げた。

「え、知り合いなの?」

杉谷和樹は眉も目尻も柔らかくなるような笑みを浮かべ、頷いた。

「大学の同...

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