第24章 少し緊張する

翌日、今野グループ本社前。

雪乃が着いたばかりのところで、入口に伊藤部長が立っていた。手にはコーヒーが二つ。

「江川、こっち!」

雪乃は近づき、差し出されたカップを受け取る。

伊藤部長は彼女を一瞥して眉を上げた。

「寝てない? クマ、すごいじゃない」

雪乃は気まずそうに笑う。

「ちょっと緊張してて」

「大丈夫だって」伊藤部長は肩をぽん、と叩く。「ただの打ち合わせだろ。前回だってうまく噛み合ってたじゃないか。今野社長も何も言ってなかった」

――それは、あのあと何が起きたか部長が知らないだけ。

雪乃はコーヒーをひと口飲み、話題を変えるように訊いた。

「伊藤部長、今日って今野...

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