第26章 待ち人?

だが、今野優空はすぐに思考を断ち切った。

――彼女のことなど、考えてどうする。

絶妙なタイミングでスマホが震え、画面には海外クライアントの名が躍る。彼は何事もなかったかのように受話器を耳に当て、瞬時に仕事という名の深淵へ意識を沈めていった。。

それから2時間後。

雪乃は未完成の企画書を抱え、エレベーター前で同僚を待っていた。

同僚が「ついでだから送るよ」と言ってくれたので、断らなかった。退勤ラッシュでタクシーはつかまりにくい。

エレベーターの扉が開く。雪乃は反射的に顔を上げた。来たのは鈴木――のはずだった。

だが、そこに立っていたのは今野優空だった。

エレベーター内で、片手を...

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