第42章 株式譲渡

今野爺さんのその言葉が口をついて出た瞬間、今野家のリビングは――しん、と音が消えた。

空気まで固まったみたいで、誰もが目を見開き、自分の耳を疑っている。

最初に我に返ったのは今野浅子だった。勢いよく顔を上げ、さっきまでの尊大さが一気に剥がれ落ちる。残ったのは、信じられないという表情だけ。

「お義父さん……いま、何と? 株を、雪乃に?」

胸の奥がざわつく。今野爺さん名義の持ち株は小遣い程度の話じゃない。今野家の事業の半分に食い込む規模だ。それを――雪乃みたいな“よそ者”に渡すなんて、あり得るのか。

雪乃本人も固まっていた。背筋がこわばり、反射的に今野爺さんを見る。

まさか、こんな言...

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