第48章 おざなり

今野爺さんがしてくれたことは、もう十分すぎるほどだ。今日の件だって、どちらかといえば自分の不注意。次からは自分で運転して来たほうが、よほど安全だろう。

少なくとも、今日みたいに有無を言わさず置き去りにされることはない。これだけの土砂降りの中じゃ、タクシーだって捕まるかどうか怪しいのだから。

ふいに隣に人影が増えた。会社の人が雨宿りに来たのだと思い、雪乃は顔も上げずに、そっと二歩ほど後ろへ下がる。

眉が寄る。雨宿りにしたって、そこまで近づく必要はないでしょう。

ところが下がるたび、相手はさらに詰めてくる。雪乃は顔を上げ、瞳の奥にかすかな怒気を走らせた。

「……あなた?」

隣に立って...

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