第50章 薬を盛る

使用人たちは途端に顔を見合わせ、誰ひとりとして口を開こうとしなかった。

リビングに、すうっと沈んだ沈黙が落ちる。

今野優空はそれを見て眉間の皺をさらに深くし、瞳を冷たく尖らせた。

「どうした。俺の声が聞こえないのか?」

雪乃もつられて眉を寄せる。どういうわけか、この一件にはいくつも不自然な匂いが絡みついている気がした。

そのとき、脇にいた今野浅子が雪乃をちらりと一瞥した。視線の奥に、計算が潜んでいる。

浅子は使用人たちの前へ出ると、顎を上げ、傲然とした表情を作った。

よく見れば、その目にはかすかな脅しが混じっている。だが優空も雪乃も、ベッドの今野爺さんのことで頭がいっぱいで、そ...

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