第59章 無力

「俺を疑ってるの?」

疑われていると分かっていても、納得できない言葉が喉を突いて出た。

今野優空の冷えた横顔に、いっそう霜が降りる。長い指先には、生ハトムギの袋。

彼はその粉を雪乃の目の前へ放り出した。

「疑ってるわけじゃない」

最後まで言わなくても、ここにいる誰もが、その続きを理解した。

雪乃は目を閉じる。胸の奥からせり上がる悔しさと委屈を、歯を食いしばって押し込めた。

そして瞼を上げたとき、眼差しは水面みたいに凪いでいた。

「私じゃない」

今野優空が、冷たく口角を上げる。

「じゃあ説明してみろ。萌花がどうして倒れた? お前の菓子に生ハトムギが入ってた。普段から萌花を邪...

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