第63章 切り離し

いつからだろう。雪乃は不満を顔に出さなくなった。彼がどれだけ説明しようとしても、もう聞く気すらない。

この家のすべてが――彼も、萌花さえも――雪乃にとっていちばん大切なものではなくなったみたいだった。

雪乃は、少しずつこの家から切り離されていく。そんな気配が、痛いほど伝わってくる。

今野優空は胸の一部を抉り取られたような気がして、その場に立ち尽くした。しばらくの間、何も考えられない。

泣き疲れた中島晴美が、よろよろと近づいてきた。甘ったるい花の香りが鼻を突き、優空の思考を無理やり現実へ引き戻す。

「優空、私のこと……責めてる? ほんとに違うの。私、そんなつもりじゃ……ほんとに……」...

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