第64章 気にしない

萌花を抱き寄せると、あたたかい小さな腕が彼の首に回った。今野優空から、いくらかでも安心をもらおうとするみたいに。

「パパ、もうだいぶよくなった……晴美おばさん、来た? 来たなら、なんで私のとこ来てくれないの!」

昨日の不調も、なぜお腹が痛くなったのかも、萌花はもう忘れてしまったらしい。まん丸の瞳で今野優空を見上げ、甘えるように、声はやわらかいのに少しかすれている。

今野優空は彼女の鼻先を軽くつまみ、甘やかすように言った。

「昨日、食いしんぼしすぎてお腹こわしたんだろ。次からは気をつけなきゃ。冷たいものも食べすぎない。分かったか?」

大人同士のややこしい事情を、萌花に説明するつもりは...

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