第67章 利用

雪乃は、父と娘が今日どんな予定なのかも知らないし、知ろうとも思わなかった。

自分の部屋にこもり、あの日の途中まで読んでいた本を手に取って、静かにページをめくる。

こういう暮らしには、もうとっくに慣れている。

数ページも読まないうちに、扉がこつ、こつ、と控えめに叩かれた。

「どうぞ」

少し声を張って返す。用があるのは使用人だろう――そう思っていたのに、入ってきたのは今野爺さんだった。

杖をつき、たぶん一人で上がってきたのだろう。にこにこと目を細め、雪乃に向かって柔らかく笑う。

「おじいちゃん、どうしてここに……!」

雪乃は本を置くと、すぐに立ち上がって駆け寄った。今野爺さんの腕...

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