第82章 屈辱

彼女の声はひやりと澄んでいて、一言一言がはっきりとしていた。その響きは、会議室にいる全員の胸に重く落ちていく。

「松村社長は私の先輩ですし、学生時代は同じサークルにも所属していました。もともと面倒見のいい方で、気にかけてもらった後輩は私だけではありません。私への配慮だけが特別だった、なんてことはありません」

「それから、あなたの言う『奪った』とは何のことですか。この案件を誰に任せるかは会社の上層部が決めることです。不満があるなら直接そちらへお話しください。私にばかり食ってかかる必要はありません。――私が本気で奪うつもりなら、あなたが持っていたこの1件だけで済むと思いますか?」

「それに...

ログインして続きを読む