第87章 気を失った

中島晴美がひと肌脱いでくれるなら、自分はどこかでうまく隙を見て、プロジェクトに細工をする。雪乃に落とし穴を掘ってやれば、さすがの彼女だって立て込んだ状況の中で、この案件を無事にまとめ切れるはずがない――今野浅子はそう踏んでいた。

この案件さえ失敗すれば、あとは今野爺さんのところへ行って、雪乃は器に見合わず、力も足りないのだと、うまく話を盛って吹き込めばいい。

いくら今野爺さんでも、いつまでも雪乃をかばい続けるはずがない。人の心なんて、冷え切るときはあっけないものだ。

電話の向こうの中島晴美も、顔色は決してよくなかった。今野優空が雪乃につきっきりだと浅子から聞かされた瞬間、その表情はすっ...

ログインして続きを読む