第88章 もう大丈夫だ

今野優空はもともと機嫌が悪かった。会議の途中で呼び止められ、叱りつけようと口を開きかけたところで、アシスタントの顔に浮かぶ――妙に硬いほどの深刻さに気づく。

……これは、出ないわけにはいかない。

今野優空はゆっくり立ち上がり、会議室の面々を一瞥して低い声で言った。

「会議は続けろ。俺は電話に出てすぐ戻る。待つな」

彼が出ていった途端、会議室の空気は目に見えて緩んだ。報告者は額の汗を拭う余裕ができ、荒い息を吐く。背中まで冷や汗でぐっしょりだった。

廊下で、アシスタントが手にしていたスマホを差し出し、声を潜める。

「今野社長、病院からです。電話口の看護師が……中島さんがご自宅で倒れて...

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