第116章ザ・キング・オブ・ハーツ

ジェイド視点

私はドアフレームに寄りかかり、ポーチに立つイーサンの顔をじっと見つめた。夜の空気が肌にひんやりと心地よかった。日中の熱がようやく引いた後で、それは歓迎すべきものだった。独特の、芳醇なタバコの香りが私たちの間に漂ってくる。

「やっぱり、吸うのね」私はそう指摘し、わずかに鼻にしわを寄せた。「ただのタバコじゃない。キューバ産？」

イーサンは肯定も否定もしなかった。

「匂いでわかるわ」と私は付け加えた。「ドミニカ共和国産。当てるとしたら、モンテクリスト。スパイシーな含み香でわかる」

私の指摘には答えず、イーサンはまっすぐに視線を返してきた。「何か用か、ジェイド？」

視線が絡み...