第134章彼の顔に触れたらどうなる?

ポケットを探り、アメジストの水晶を取り出した。深い紫色の石が光を捉え、砕けた紫色の光線を私の手に走らせる。フィリップ・ソーントンはテラスの入り口近くに立ち、ウォルター・モリソンと話し込んでいた。絶好の機会だ。

「ソーントン会長」私は二人に近づきながら言った。「お持ちしたものが」

アメジストの水晶を差し出す。「心臓のご病気のためです。大したものではありませんが、寝室の近くに置いておくとストレスや不安を和らげる効果があるそうです。ストレスレベルが下がれば、心臓のリズムにも良い影響がありますから」

フィリップは水晶を検めるように見つめ、目を見開いた。その縁を敬虔な手つきでなぞる。「これは……素...

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