第158話ケツを蹴るスーツ

ジェイド視点

私とイーサンは、地下の食料貯蔵庫らしき場所に潜り込んだ。狭い空間は根菜の土臭い匂いで満ちている。頭上からは、捜索を続けるスコルピオの部下たちの叫び声が遠く響いてくる。私が木の扉を閉めると、隙間から差し込む月光の細い筋を除いて、あたりはほぼ完全な闇に包まれた。

「危ないところだったな」とイーサンが囁く。冷たい空気の中で彼の吐く息が白く見えた。

私は頷き、周囲を見回す。小さな部屋の壁には木製の棚が並び、保存食や新鮮な野菜が置かれていた。イーサンは小さな容器に手を伸ばし、ブルーベリーのようなものを取り出した。

「一つ、どうだ」と彼は言い、ふっくらとした一粒を指でつまんで差し出した。

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