第171話じゃああなたのもの

ジェイド視点

玄関のドアベルが家中に響き渡った。ソファで読書をしていたライアンが即座に身をこわばらせ、その手は足首に隠した武器へと動く。キッチンカウンターで念入りにナイフを磨いていたザックは、ぴたりと動きを止めた。

「マックスね」と、私は寝室から出てきて言った。「弟がクラウド・シティから帰ってきたの」

ここ数日、ザックはマックスについて尋ねてばかりいた。未知の縄張りをうかがう捕食者のように、時間が経つにつれて彼の好奇心が増していくのを私は見ていた。そして今、彼が守るべき相手と対面しようとしている。

ドアを開けると、そこにいたのはワイヤーフレームの眼鏡の奥に知的な瞳を宿した、線の細い青年...

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