第176話ブローアウトビクトリー

スコアボードは十九対十三を指していた。すでにリードはしていたが、私にとってはまだ序の口だ。ポケットに片手を突っ込んだまま、何気なくセンターコートまでボールをドリブルで戻す。相手チームの呆然とした表情を眺めるのは、なかなか楽しかった。

「私のことは気にせず、本気でどうぞ」と、ブロックに声をかける。彼は息を切らし、顔を紅潮させていた。「まぐれだなんて思われたくないから」

ブロックのチームメイトの一人、角刈りの筋肉質な男が私を睨みつけた。「あいつ、本気で言ってんのか?」

ブロックは答えなかったが、歯を食いしばる彼の顎の筋肉がぴくぴくと動くのが見えた。冷静さを失わないように必死なのだろうが、その...

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