第191章一部屋あれば十分

ローレンスの屋敷にある臨時の寝室で、私は薬がゆっくりと体に効いていくのを感じていた。視界はいらだたしいほどぼやけていたが、それでも今は形や影くらいは判別できる。完全な暗闇だった頃に比べれば、進歩だ。

「次の薬を飲む時間だ」戸口に姿を現したイーサンが言った。

声のした方に顔を向けると、廊下の明るい光を背にした彼の背の高いシルエットがぼんやりと見えた。「今度は看護師ごっこ、ハクストンさん?」

「誰かがやらないと」彼は落ち着いた足取りで近づきながら答えた。「ザックはまだ怪我の療養中で、君には毎日の治療が必要だから、しばらくここに滞在するようローレンスが提案したんだ。俺には隣の部屋が与えられた」...

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