第56章殺人犯との朝食

ホテルのスイートルームのドアを軽くノックする音で、浅い眠りから引き戻された。真夜中の外出から戻り、ベッドに入ったのは数時間前のこと。ソファで眠っているらしいイーサンを起こさないよう、注意を払った。

少しだけ開いていた寝室のドア越しに、コナーの声が聞こえた。「ボス、少々――」

「今はだめだ」イーサンが毅然とした声で遮る。

私は伸びをして起き上がり、もつれたブラウンの髪に指を通した。もう観念して一日を始めるしかない。寝室のドアを完全に開けて外に出ると、イーサンが用意してくれたシルクのローブをまとっていた。半分ほど閉められたカーテンから朝日が差し込み、豪華なスイートに長い影を落としている。

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