第79章あえてレースして

午前五時半にアラームが鳴り響いたが、実際にはもう一時間近くも目が覚めていた。前の晩に用意しておいた簡素な運動着を身につける。集合場所に着くと、全員にオレンジ色のプリンストン大学のTシャツと、服の上から履く黒のトレーニングパンツが配られた。

習慣で武器を確認しかけて、携帯していないことを思い出してはっとした。『シビリアン・モード』、と自分に言い聞かせる。昨夜イーサンに言った自分の言葉が頭の中で反響した。「学生でいることを選んだなら、学生らしく振る舞うべきだ」。彼はそれを聞いて、私がルールに従い、チームビルディングのゲームに興じる姿など想像もつかないとでも言うように、面白がっていた。

寮の...

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