第56章 彼女を嫌がらせするのか?

「分かっておる!」

結城おじい様は眉をひそめ、目を沈めた。

「これまでに何があったかは知らん。だが、今日からは……あの子と向き合ってみろ」

結城明臣は、祖父があの女に言いくるめられているのではないかと疑った。

勢いよく立ち上がる。ギギィ、と椅子が床を擦り、耳障りな音が病室に走った。

「俺に婚約してる相手は芹沢家の末娘だ。水上伊鶴だ。あいつじゃない!」

「もうよせ!」

結城おじい様が激しく咳き込み、身体を震わせたままベッドへ倒れ込む。

「結城おじい様!」

宇佐美樹奈は目に涙を浮かべ、慌てて駆け寄ると、病床を平らに戻した。

「大丈夫ですか? 苦しくありませんか?」

結城おじ...

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