第62章 取引

「カチャリ」

結城おじい様の手にしていたものが、床に落ちた。

「……こんな薬を、ずっと飲まされてたのか」

乾いた苦笑が漏れる。結城おじい様はふらつく身体で水上伊鶴の前まで歩き、深々と頭を下げた。

「宇佐美樹奈が薬を持ってきたときも、わしは何が何だか分からんかった。ただ、お前を追い出すことばかり考えて……あの『特効薬』とやらを飲みたくて仕方なかった」

水上伊鶴は小さく頷き、ペンを取り出して紙に注意事項を書き連ねていく。

「結城明臣。これから半月は、毎日おじい様のそばにいて、私の指示どおりに実行されているかをあなたが直接確認して。いちばん大事なのは――ほかの薬に、二度と触れさせないこ...

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