第3話
向井浩正が真剣に運転する横顔を眺めながら、私の心の中に突如として悪意に満ちた考えが浮かんだ。
もし私の愛する家族たちが、彼らがいつも可愛がってきた末娘が、実の娘を死に至らしめた犯人だと知ったら、一体どう思うだろうか?
でも、きっと信じないだろうな。
私は視線を外し、思わず自分を嘲笑った。
以前、学校に通っていた頃、私は向井莉子とその手下たちに、3年もの間いじめられていた。
家族に助けを求めたこともあったが、誰も私の話を信じてくれなかった。
黒幕が向井莉子だと告げた時でさえ、皆が私を非難するような目で見てきた。
彼らは、いつも大人しく従順な向井莉子がそんな人間だとは信じられず、彼らの目には悪名高い「次女」の言葉も信じようとしなかった。
彼らはいつも自分の判断だけを信じていた。
だから、今回私が訴えた後も、何の助けも得られなかったばかりか、逆に叱りつけられた。
その後、学校に戻ると、私を待っていたのはますます過酷ないじめだった。
今でも、向井莉子の革靴が私の頭を踏みつける感覚を覚えているし、彼女が鼻高々に言い放ったあの言葉も覚えている。
「もう諦めたわよね?」彼女は好き勝手に笑った。「彼らは私の両親と兄よ。あなたがした間違いは、私の生活を邪魔しに戻ってきたこと。あなたのような虫は下水道にいて当然よ!そうでなければ、私が手を出しても文句は言えないわね」
最後に、心に残ったのは絶望と死の静寂だけだった。
彼女の言うことがすべて真実だと分かっていたからこそ、私はあれほど絶望したのだ。
だが、今となってはそんなことはどうでもよい。
なぜなら、私はもう死んでいるのだから。
向井浩正は車を止め、ドアを開けて外へ出た。
目の前の建物がどこか見覚えがある。
思わず二度見して、ようやくここが私の住まいであると確信した。
彼はここに何しに来たのか?まさか、本当に私を縛り上げて連れ戻そうとしているのか?
その考えに、思わず笑みがこぼれそうになった。
残念だけど、ここでは誰一人捕まえることはできない。
少し離れた方向を一瞥したが、心には微塵の動揺もなかった。
どうせ彼らにとっては、私が死んだ方がむしろ好都合なのだ。
何しろ、これからは誰も向井莉子に厄介事を持ちかけることはなく、彼らの平穏な生活を邪魔する者もいなくなるのだから。
