第5章

浅見水希視点

立花杏弥の声が、沈黙を切り裂いた。

「佑真!」

彼女は私たちの方へ駆け寄ってきた。

「なんてこと!その顔、どうしたの!」

私は呆れと嫌悪が入り混じった気持ちで、彼女が彼にたどり着くのを見ていた。その手はためらいなく彼の頬へと伸び、すでに赤く腫れ始めている箇所に触れる。彼女はまるで壊れ物に触れるかのように、震える指で彼の頬に触れた。

「どうしてこんな酷いことができるの?」

彼女は私に向き直り、その目を衝撃と傷心で見開いた。

「水希さん、あなたが私のことを嫌っているのは分かります。でも、佑真さんはただ患者を助けようとしているだけじゃないですか。どうしてそん...

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