第9章

流産手術の翌日、私は医療センターの特別病室に横たわっていた。ブラインドの隙間から差し込む光が、真っ白なシーツにまだらな影を落としている。痛み止めで身体の苦痛は和らいでいたが、胸のうちに渦巻く怒りが静かに燃えていた。

大地がベッドのそばに座り、心痛に満ちた目で私を見つめている。「静香、もう少し休んだほうがいい」

私は首を横に振り、スマートフォンを手に取った。「ううん、もう十分待ったわ」

画面には、昨夜の正人からのメッセージが二十三件表示されていた。最初の「静香、体調が悪いと聞いた」から、最後の「頼むから電話してくれ、気が狂いそうだ」まで。その一つ一つが、私の五年間の忍耐を嘲笑って...

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