第47章 同情

番組の中で、その不可解な電話を終えた青山希は、再び作業に戻った。

桐谷紫帆が彼女のすぐ隣に腰を下ろし、同情に満ちた眼差しを向ける。

「あんなお母さんとお兄さんがいるなんて、本当に大変だったわね」

あの二人の奇人変人、どちらか一人でも自分の家にいたら、きっととっくに気が狂っているだろう。

幸い、桐谷紫帆の家庭は大金持ちというわけではないが、両親の愛情に溢れ円満だった。青山希があの一家と縁を切ったのも無理はない。

青山希は微笑んで応じた。

「まあ、もう慣れたし。今は苦界から抜け出して、せいせいしてる」

彼女にはやはり、橘家の人間たちのことが理解できなかった。

青山希は報復したわけでもな...

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