第6章
そのお守りの鈴を固く握りしめる。掌に伝わる微かな温もりだけが、この薄暗く冷たい廊下で唯一の慰めだった。
女の幽霊が廊下の突き当たりに浮かんでいる。首筋の絞め痕は、暗闇の中で開いた第二の口のように、その怨念を無言で物語っていた。
「秋子、その鈴をどうするつもり?」
彩也香が不意に口を開いた。その声には、私が今まで聞いたことのないような、大人びた響きがあった。
「これで……あれをどうにかできるかもって……」
私の声は震え、指先は家伝のお守りの鈴を握りしめているのもやっとだった。
女の幽霊は脅威を感じ取ったのか、真っ白い顔に獰猛な表情を浮かべる。
「小娘、そんな壊れかけの鈴...
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