第5章

 俺は父のコートの中に身を縮め、切り落とされた指の荒々しい断面がずきずきと脈打つのをこらえていた。

「……父さん」俺はかすれ声で呼んだ。

 マーカスが見下ろす。瞳に宿っていた致命的な怒りが、わずかに和らいだ。

「これは、俺が自分でやる」

 父は短くうなずく。

「ここにいる。好きに落とし前をつけろ――肉一斤でも何でもな」

 王宮の衛兵が二人、ブライアを床に押さえつけていた。マーカスの指輪が叩きつけられたせいで、彼女の顔の半分はぐしゃぐしゃに潰れている。

「な、なにしてるの……?」ブライアは血を吐きながらどもった。

「ケインが殺すわ! ブラッドムーンの群れが、あんたを八つ裂きに―...

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