第11章

だが、二人の力の差はあまりにも大きかった。橘陸斗は避ける素振りすら見せず、彼女の腹へ容赦なく蹴りを叩き込み、そのまま吹き飛ばした。

同時に、橘陸斗の指先はすでに狼の爪へと変じていた。

冷たい光を放つ刃が、星ちゃんのか細い頸動脈にぴたりと当てられる。

あと1mmでも食い込めば、子供の喉はたやすく裂かれる。

「杉山夕晴。最後の警告だ」

橘陸斗は氷のような声で言い放った。

「もう一度でも雨音を侮辱してみろ。お前の目の前で、このガキを肉塊にしてやる」

爪先はすでに星ちゃんの皮膚を裂いていた。白い首筋を伝い、血の粒がつうっと流れ落ちる。

その瞬間、杉山夕晴の全身から力が抜けた。

娘の...

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