第21章

杉山夕晴は腕の中の弱りきった星ちゃんをきつく抱きしめたまま、虚ろだった視線をゆっくりと結び直し、江崎渚の血に濡れて皮膚が裂けた手へ落とした。

純銀の鎖が食い込んだ傷は骨が覗くほど深い。狼毒草の毒は、江崎渚の狼魂をじわじわ腐らせている。

江崎渚は身を裂く痛みを噛み殺し、震えながらも星ちゃんの治療を続けた。

もう分かっている。橘陸斗に縋ったところで無駄だ。あの男が、星ちゃんに精血を一滴でも恵むことなど、あり得ない。

運命の番だの、月神の導きだの――。

月神が用意した帰結が、娘が実の父親の手で死んでいくのを見届けろというものなら。杉山夕晴は、その信仰ごと叩き捨ててやる。

「江崎渚」

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