第23章

杉山夕晴の瞳に浮かんだ怯えは、あまりにも露骨だった。

その瞬間、橘陸斗の胸の奥を、鋭い刃が深々と抉ったような痛みが走る。

ついさっき指先に残っていたぬくもりが、すっと消えた。

胸の内にかすかに芽生えかけた柔らかさも、彼女のその警戒に満ちた眼差しに、無残に打ち砕かれる。

空気が、すとんと重く沈んだ。

黒焔の戦狼の覇気が、客間いっぱいに一気に荒れ狂う。

濃密なアルファの匂いが、室内に残る薬草の香りを呑み込み、圧倒的な威圧が杉山夕晴の呼吸を奪っていく。

杉山夕晴は、ひゅっと息を呑んだ。

橘陸斗がどう動いたのか、目で追う間もなかった。

次の瞬間には首を大きな手で容赦なく締め上げられ...

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