第27章

遊園地の絢爛で幻めいた灯りが、窓の向こうに滲んでいる。

まるで――どこにでもいる三人家族みたいに。笑い声さえ聞こえてきそうなほど、穏やかで、仲睦まじい光景。

橘陸斗の頬が、ぴくりと引きつった。

次の瞬間、手にしていたワイングラスを床へ叩きつける。ガシャーン、と甲高い破裂音。赤い飛沫がカーペットに散った。

背後に、黒焔の戦狼の虚影が揺らめき立つ。

アルファのフェロモンが、息をする隙間もないほど部屋じゅうを満たし――空気そのものが、重く沈んだ。

威圧は扉板を易々と貫き、外で控えていた近衛の橘瑛介を押し潰す。

瑛介は膝から崩れ落ち、床に額がつくほど頭を垂れた。背中に冷汗が噴き、止まら...

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