第29章
杉山夕晴は、くるりと毛布に包んだ星ちゃんを胸に抱き寄せた。
外では、いつの間にか北風が荒れ始め、細かな雪がちらちらと舞っている。
杉山夕晴は玄関をまたいだ。背後で鍵の落ちる音がして、閉ざされたのは扉だけではない。あの家の中に残っていた、わずかな温もりのすべてだった。
杉山夕晴は足を取られながら、山を下っていく。
「ママ……」
腕の中から、かすかな寝言のような声がこぼれた。
杉山夕晴はすぐに足を止め、分厚い毛布越しに頬をすり寄せる。
「ママはここにいるわ。星ちゃん、いい子だから、もう少し寝ていなさい」
「ジェットコースター……すっごく高い……」
星ちゃんは目を閉じたまま、口元...
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