33、

橘謙人が覚醒させたのは、稀少な狂暴狼魂。圧倒的な武力を誇り、振る舞いは苛烈そのもの。誰もが次代のアルファはあいつだと、半ば当然のように思っていた。

そして、目の見えない兄は――橘謙人にとって鬱憤を晴らすための玩具になった。

拳。鞭。棘だらけの蔓鞭。

橘謙人は飽きもせず手を変え品を変え、橘陸斗を痛めつけ、その尊厳を踏みにじった。

そのたびに前へ出たのは、杉山夕晴だった。華奢な肩を盾にして、橘謙人の暴力を一身に受け止める。

全身に傷を負いながらも、橘陸斗が生き延びるための、ほんのわずかな望みを繋いでいたのだ。

薬湯の水面には、深い緑をした秘薬の葉がいくつも浮かんでいる。苦みを帯びた薬...

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