37、
一発、二発。
「星ちゃんを殺したなんて、よくも言えたわね! うちの娘に狼呪いをかけたなんて、よくも……!」
拳が頬骨を打ち、鈍い音が地下に響く。
杉山雨音は殴られて顔を腫らし、唇の端を切っていた。見るも無惨な有様だ。
痛みに、雨音の目の奥で凶光がちらりと閃く。
だが彼女は、それ以上やり返さなかった。右手をそっとポケットへ滑り込ませ、短縮キーを押す。
通話が繋がった震えが、掌に伝わった。
その瞬間、杉山雨音はぱっと手を離し、さっきまでの悪毒に満ちた眼差しを、一転して涙ぐんだものへ変えた。
「夕晴、やめて……! ごめんなさい、私はただ様子を見に来ただけなの……お願い、殺さないで…...
ログインして続きを読む
チャプター
1. 第1章
2. 第2章
3. 第3章
4. 第4章
5. 第5章
6. 第6章
7. 第7章
8. 第8章
9. 第9章
10. 第10章
11. 第11章
12. 第12章
13. 第13章
14. 第14章
15. 第15章
16. 第16章
17. 第17章
18. 第18章
19. 第19章
20. 第20章
21. 第21章
22. 第22章
23. 第23章
24. 第24章
25. 第25章
26. 第26章
27. 第27章
28. 第28章
29. 第29章
30. 第30章
31. 31、
32. 32、
33. 33、
34. 34、
35. 35、
36. 36、
37. 37、
38. 38、
39. 39、
40. 40、
41. 41、
42. 42、
43. 43、
44. 44、
45. 45、
46. 46、
47. 47、
48. 48、
49. 49、
50. 50、
51. 51、
52. 52、
53. 53、
54. 54、
55. 55、
56. 56、
57. 57、
58. 58、
59. 59、
60. 60、
縮小
拡大
