38、

「江崎渚は、ただの友達よ……星ちゃんは雑種なんかじゃない……私は、あなたを裏切ってなんかいない……」

杉山夕晴の声はもう掠れきって、まともに聞き取れないほどだった。涙が頬の血を洗い流し、ぽたぽたと橘陸斗の靴へ落ちていく。

彼女はすべてを捨てていた。尊厳も、ルナとしての誇りも。

かつて一生愛すると誓った男の足元に、這いつくばって。

「月神よ……陸斗、お願い……杉山雨音が嘘をついてるって言って……お願いだから、教えて……あなたは私の星ちゃんを、狂狼に喰わせたりしてないって……」

「娘を返して……お願い……返してくれるなら、私の命でも何でもあげる……だから、星ちゃんを返して……」

地下...

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