39、

だが、橘陸斗の身から噴き上がる、あの恐るべき最上位アルファの威圧に触れた途端、連中はまたしても怯えきって頭を垂れた。

橘陸斗は周囲の視線など意にも介さず、片手で杉山夕晴を引きずったまま、夜色の奥へと大股で踏み込んでいく。

薄暗い廊下を進むにつれ、空気に溶けた発情の匂いが、そこかしこで濃くなっていった。異なる人狼たちの熱と欲。むせ返るほど生々しい。

とっくに何も感じなくなっていたはずの杉山夕晴の胸に、不意にぞわりと恐怖が這い上がる。

――橘陸斗は、自分をこんな場所へ連れてきて、何をするつもりなの。

廊下の突き当たりには、金の縁取りが施された重厚な扉がぴたりと閉ざされていた。

「っ!...

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